飲食店の原価率はどこまで下げられるか|13年で学んだ仕入れのコツ

仕入れ・原価管理

はじめに

飲食店を経営していると、毎月必ず向き合うことになるのが原価率です。

「今月は食材費がかかりすぎた」「利益が出ているはずなのに手元にお金が残らない」——そんな悩みの多くは、原価管理の甘さから来ています。

私は京都で鉄板焼きの小さな店を16席、13年間やってきました。その経験から言えることは、原価率は正しく管理すれば必ずコントロールできるということです。


そもそも原価率とは

原価率とは、売上に対して食材費がどのくらいの割合を占めているかを示す数字です。

原価率 = 食材費 ÷ 売上 × 100

飲食店の目安は業態によって異なりますが、一般的には以下のとおりです。

業態目安の原価率
ラーメン・麺類25〜30%
居酒屋・バル28〜35%
鉄板焼き・焼肉35〜45%
カフェ・喫茶20〜30%

鉄板焼きは肉類を多く使うため、原価率が高くなりがちです。だからこそ仕入れのコントロールが重要になります。


原価率を下げる3つのアプローチ

① 仕入れ先を複数持つ

仕入れ先が1社だけだと、価格交渉ができません。同じ食材でも業者によって値段が大きく違うことがあります。

私の場合、肉類・野菜・調味料でそれぞれ別の業者を使い分けています。「他の業者の方が安い」という情報があれば価格交渉の材料にもなります。

② 季節食材を積極的に使う

旬の食材は安くて質が高い。これは飲食店経営の基本中の基本です。

メニューを固定しすぎると、食材の価格が上がっても変更できなくなります。季節ごとにメニューを見直す習慣をつけることで、原価を自然にコントロールできます。

③ ロスを徹底的に減らす

仕入れ値を下げることばかり考えがちですが、ロスをなくすことの方が即効性があります。

使いきれずに捨てる食材がどのくらいあるか、一度真剣に計算してみてください。月に数千円のロスが積み重なると、年間では大きな損失になります。


原価率を下げすぎてはいけない理由

原価率を下げることに集中しすぎると、料理の質が落ちてリピーターが離れるという本末転倒な結果になります。

安い食材を使えばコストは下がります。でも「それほどおいしくない」と思われた瞬間、お客さんは二度と来ません。小さな店にとって、これは致命的です。

むしろおいしい食材をしっかり仕入れて、その分を売価に乗せるというのが正しい考え方です。「ちょっと高くてもいい、おいしいから」と思ってくれるお客さんは必ず存在します。そういうお客さんが常連になってくれるのが、小さな店が長続きする理由の一つです。

売価を高く設定することへの不安はわかります。でも、値段より「おいしくない」と思われる方がずっと怖い。


原価率は必ず数字で把握する

感覚で「だいたいこのくらい」と思っていても、実際に計算すると全然違うことがよくあります。

開業して最初の半年は、毎月末に必ず棚卸をしてください。 月末の在庫を実際に数えて、正確な食材費を出す。これをやるかやらないかで、経営の精度がまったく変わります。

棚卸は面倒に感じるかもしれませんが、習慣になれば30分〜1時間でできます。そして数字を見続けることで、「今月は肉の使いすぎ」「野菜のロスが多い」といった問題が早期に見えてくるようになります。


まとめ

原価率の管理は、飲食店経営の根幹です。毎月必ず確認する習慣をつけるだけで、経営の安定度が大きく変わります。

仕入れ先の見直し、季節食材の活用、ロスの削減——この3つを意識しながら、おいしい食材を適正な価格で提供することが、長く続ける飲食店の条件です。数字から目を逃がさず、自分の店の原価率を正確に把握することから始めてみてください。

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